乳がんのタイプ別再発リスク

乳がんも、他のがんと同様、再発のリスクがあります。

しかも、多くのがんでは「初回治療から5年間」に再発しなければひとまず完治とみなされるのに対し、乳がんでは「10年間」は様子を見る必要がありますので、手術を受けた後も長い間、油断できない病気です。

どのような患者さんでも乳がんの再発リスクはありますが、特に「発見時のステージ」と、「サブタイプ」によって再発のしやすさが変わることが分かっています。

乳がんのタイプ別の再発リスクについて詳しく解説していきましょう。

乳がんは、術後から10年後に再発することもある

がんの再発には、元の病巣と同じ場所に現れる「局所再発」と、離れた部位に現れる「遠隔転移」の2種類があります。どちらも、初回の手術で取りきれなかったがん細胞が成長して、再び姿を現したものです。

多くのがんでは、初回治療後5年たてば再発のリスクはほぼ0に近くなるため、経過観察する期間も通常は5年間となっています。

しかし乳がんでは、5年後、10年後でも再発するケースがありますので、初回治療から10年間は定期的にフォローアップ検診を受ける必要があります。逆にいえば、乳がんはそれほど進行がゆっくりだということです。

サブタイプ別・乳がんの再発リスク

同じ乳がんでも、タイプによって再発リスクの高さや、再発しやすい時期などが異なります。

まずは乳がんのサブタイプ分類から見ていきましょう。

乳がんのサブタイプ分類
サブタイプ分類 特徴
ルミナルA型 女性ホルモンにより増殖する
HER2陰性
がんの増殖スピードが遅い
ルミナルB型(HER2陰性) 女性ホルモンにより増殖する
HER2陰性
がんの増殖スピードが速い
ルミナルB型(HER2陽性) 女性ホルモンにより増殖する
HER2陽性
がんの増殖スピードが速い
HER2陽性 女性ホルモンにより増殖しない
HER2陽性
がんの増殖スピードが速い
トリプルネガティブ 女性ホルモンにより増殖しない
HER2陰性

乳がんの治療では、サブタイプ分類が非常に重要になります。

エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの影響で増殖するタイプかどうか、またHER2というタンパクが多く発現するタイプかどうかなどによって、使うべき薬も変わってくるからです。

また、サブタイプ分類によって再発のリスクも変わってきます。

中でも「HER2陽性型」や「トリプルネガティブ型」は、進行が速いため、術後2年以内の再発が多い点が特徴です。

一方、「ルミナルA型」や「ルミナルB型」は、他の2つに比べると進行がゆるやかなため、術後5年以降の再発率が高い傾向にあります。

下記は、サブタイプ別の「無再発生存率」を表したものです。初回治療を受けた患者さんのうち、再発せずに生存している人の割合を示しています。

乳がんのサブタイプ別の無再発生存率
サブタイプ分類 無再発生存率(5年) 無再発生存率(10年)
ルミナルA型 88.4% 83.1%
ルミナルB型(HER2陽性) 69.1% 69.1%
HER2陽性 67.2% 67.2%
トリプルネガティブ 74.3% 72.4%

<大阪労災病院「乳癌治療成績(2014年)」より>

女性ホルモンの受容体が陽性、かつHER2が陰性の「ルミナルA型」は、全体の中でもっとも生存率が高いタイプです。

ただし進行が遅いだけに、5年後以降に再発する可能性が比較的高く、この表でも術後5〜10年間に再発した患者さんが一定数いたことがうかがえます。

発見時のステージ別・乳がんの再発リスク

サブタイプ分類のほか、発見時のステージによっても乳がんの再発リスクは変わってきます。

どのようながんでも、発見が早ければ早いほど治療が簡単に済み、再発リスクも少ないことが一般的です。乳がんでも、はっきりとその傾向がみられます。

乳がんのステージ別の生存率
ステージ分類 5年生存率 10年生存率
0期 100% 100%
T期 98.4% 96.3%
UA期 95.8% 91.5%
UB期 86.4% 74.8%
VA期 66.2% 52.0%
VB期 71.6% 55.1%
W期 31.0% 24.1%

<大阪労災病院「乳癌治療成績(2014年)」より>

上記の表を見ますと、もっとも早期である0期・T期の乳がんでは、ほぼ100%近くの患者さんが5年後、10年後も生存しています。

一方、V期以降では明らかに生存率が低くなっていることから、再発リスクの高さがうかがえます。

乳がんが再発した場合は、「慢性疾患」として付き合っていく

乳がんは他のがんと比べると長く付き合わなければいけない病気ですが、実際の再発例は他のがんと同じく、ほとんどが術後3年以内に集中しています。

ただし一部の患者さんでは、5年後、10年後にも再発するケースがある、ということです。

たとえば元キャンディーズの田中好子さんは、最初の治療から19年も後に再発・転移した乳がんで亡くなりました。

「10年が一つの目安」とされている乳がんですが、実際は田中さんのように、非常に進行のゆるやかながんが長い間、体内に残る可能性もゼロではないのです。

かといって、再発を気にしすぎながら鬱々と毎日を過ごすのも良くありません。

どのようながんにもいえることですが、初回治療で出来る限りのことをしたのであれば、あとは決められたタイミングでしっかりとフォローアップ検診を受けながら、毎日をなるべくはつらつと過ごすことが一番です。

そのほうが体の免疫力も上がり、再発しにくい体を作ることにもつながります。

特に乳がんのように長く付き合わなければいけない病気の場合、「完治」にこだわりすぎるのも問題かもしれません。

たとえば糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、ヘルニアをはじめとする整形外科の病気は、慢性疾患として一生をかけて付き合っていく人がほとんどです。

乳がんも同じように考え、万が一再発した場合も、慢性疾患として気長に付き合っていくようにしましょう。

今はサブタイプ別の治療が進歩してきたため、乳がんの予後はかなり改善しています。亡くなった人のことが特にニュースになるだけで、実際はそれ以上に多くの患者さんが生存しているのです。

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